介護事業所の財務状況を報告する新制度がスタート
厚生労働省の老健局より介護・高齢者福祉の政策として、「介護サービス事業者の経営情報の調査及び分析等」が発表されました。(2024年10月18日)
この政策は、介護事業所が財務状況を都道府県へ報告する、新たな制度に沿ったもので、2024年度下期よりその報告システム「介護サービス事業者経営情報データベースシステム」やデータベースの仕様が公表されていきます。
この制度によって、介護事業所は会計年度ごとに財務諸表の情報を入力する義務があり、報告する期限は会計年度の終了後の3カ月以内になります。(義務化する初年度のみ、2024年度内での報告が認められる措置あり)
詳しくは以前の解説コラムをご覧ください。
》》》関連コラム2-3.『2024年度より義務化。介護事業所の財務諸表 都道府県への報告』
■このコラムの内容
・財務状況の報告制度の概要
・データベースの運用イメージ
・介護事業所向けの情報
・都道府県担当者向けの情報
・会計ソフトベンター向けの情報
・関係する法令や通知
◆財務状況の報告制度の概要
厚生労働省では、介護事業所を取りまく様々な課題に対する的確な支援策を検討するため、介護サービス事業所の経営情報を収集し、データベースを整備します。
このため、介護サービス事業所の経営情報(財務状況)の収集及びデータベースの整備をし、収集した情報を国民に分かりやすくなるよう属性等に応じてグルーピングした分析結果を公表する制度及びデータベースを、2024年度より創設します。
《データベースの概要》
・対象:原則的に、全ての介護サービス事業所
※ただし、次のような対象外のケースもあります
-「過去1年間で提供を行った介護サービスの対価として支払いを受けた金額が100万円以下のもの」及び
-「災害その他都道府県知事に対し報告を行うことが出来ないことにつき正当な理由があるもの」
・収集する情報:介護施設・事業所における収益及び費用、職員の職種別人員数、職種別の給与(給料・賞与)、(任意事項)等
・公表方法:属性等に応じてグルーピングした分析結果の公表
(注)データベースの整備のほか、利用者にとっても介護サービス事業所を適切に選べるよう、介護サービス情報公表制度についても併せて見直しを行い、介護サービス事業所に対して財務状況の報告を求めることとしています。(「介護サービス事業者経営情報データベースシステム」の詳細の通知は追って発表予定です)
◆データベースの運用イメージ
・介護サービス事業所は、毎年の会計年度の終了後に、経営状況を都道府県知事へ報告する
・都道府県知事は、介護サービス事業所の経営状況に関する調査及び分析を行い、厚生労働大臣へ報告・提供する
・厚生労働大臣は、介護サービス事業所の経営状況に関するデータベースを整備し、経営状況を把握・分析して、その結果を公表する
◆介護事業所向けの情報
現時点では、厚生労働省から介護事業所向けの通知や事前の事務連絡が発表されており、財務状況のデータベースの操作については、2024年秋頃に公表される予定です。
《通知・事務連絡》
・介護保険法:第115条の44の2の規定に基づく介護サービス事業者経営情報の調査及び分析等に関する制度に係る実施上の留意事項について
・介護保険法:第115条の44の2に基づく介護サービス情報の報告及び公表に係る制度に関するシステムの運用開始に向けた対応等について
《財務状況の報告に向けたスケジュール》
・令和6年7月頃 報告内容・方法等に係る通知等の発出
・令和6年秋頃 報告システムにおける操作方法のマニュアル・動画の公表
・令和7年1月以降 報告システムの運用の開始、令和6年度分報告の開始
・令和7年3月末 令和6年度分(初年度分)報告〆切
(報告する期限は会計年度の終了後の3カ月以内になりますが、義務化する初年度のみ、2024年度内での報告が認められる措置あり)
《報告にあたってのお願い事項》
・報告にあたってGビズID(gBizIDプライム)のアカウント取得が必要となります。
※原則2週間以内(原則によらない場合あり)でアカウントが取得できますが、早めのアカウントの取得をお願いいたします。
GビズIDの詳細は以前の解説コラムをご覧ください。
1-7.『最初のホップは、コロナ禍で使ったGビズID(その1)』
《データベースの操作方法についてのマニュアル等》
※2024年秋頃に公表される予定です
《本制度に関するQ&A》
・介護サービス事業者経営情報の報告等に関するQ&Aの発出について
◆都道府県担当者向け情報
《データベースの操作方法についてのマニュアル等》
※2024年秋頃に公表される予定です
◆会計ソフトベンター向けの情報
介護事業所が経営情報データを報告するにあたり、この報告システムにおける画面入力の他に、介護事業所による報告手続きの負担軽減のために、会計ソフトウェア等から出力したファイルを取り込む機能が実装される予定です。
この取り込み機能を利用するためには、この報告システムで指定したファイルの仕様に沿って、取り込みファイルを出力するシステム改修が必要となるため、会計ソフトを開発・提供するシステム会社向けに、説明会や仕様書が発表されています。
《会計ソフトベンター向け説明会》
・会計ソフトウェアベンダ向け説明会
・会計ソフトウェアベンダ向け説明会資料
《インターフェースファイル定義書》
・「介護サービス事業者経営情報データベースシステム」外部インターフェースファイル定義書
《外部インターフェースファイルのテスト環境》
・テスト環境を利用する際は以下のメールアドレスへ、メールにて事前に申請をお願いします。
申請先:helpdesk_zaimudev@kaigokensaku.mhlw.go.jp
申請時には以下の内容を記載の上、申請をお願いします。
①会社名
②利用者氏名(複数名の利用の場合、代表者の氏名を記載下さい)
③利用者氏名カナ
④利用者メールアドレス
⑤接続元のグローバルIPアドレス
⑥利用開始予定日(2024年12月1日以降の日にちを記載下さい)
⑦利用終了予定日
⑧利用者連絡先電話番号(内線がある場合は内線も記載下さい)
⑨その他(何かございましたら記入下さい)
《報告システムやテスト環境に関する問い合わせ先》
・利用申請、テスト環境等のお問い合わせは、以下までメールにてお願いします。
問い合わせ先:helpdesk_zaimudev@kaigokensaku.mhlw.go.jp
※テスト環境は外部インターフェースファイルの検証を行うための機能に限定しており、令和7年1月頃にリリースされる本システムの試用が行えるサイトではありません。また、利用申請のアドレスへ問い合わせを貰った場合、テスト環境等のシステム面のみの回答となります。
《報告システムに関するQ&A》
・介護サービス事業者経営情報の報告における会計ソフトウェアベンダ等向けQ&Aの発出について
◆関係する法令や通知
・介護保険法(該当条文:第115条の44の2)
・介護保険法施行規則(該当条文:第140条の62の2の2~第140条の62の2の6)
・介護保険法:第115条の44の2の規定に基づく介護サービス事業者経営情報の調査及び分析等に関する制度に係る実施上の留意事項について
・介護保険法:第115条の44の2に基づく介護サービス情報の報告及び公表に係る制度に関するシステムの運用開始に向けた対応等について
・介護サービス事業者経営情報の調査及び分析等に係る経営情報データ等のファイル連携方法等の資料掲載の周知依頼及び会計ソフトウェアベンダ等向けの説明会の実施について
・介護サービス事業者経営情報の報告等に関するQ&Aの発出について
・介護サービス事業者経営情報の報告における会計ソフトウェアベンダ等向けQ&Aの発出について
◆まとめ
介護事業所にとってこれらの財務状況の報告は、新たな制度の業務になりますが、事前に報告する内容や方法など、早めの準備をとっておくことが大切です。
また報告に関する詳細は、厚生労働省や都道府県から随時発表されるため、常に最新情報をチェックすることも重要です。(厚生労働省からは、今回の報告システム「介護サービス事業者経営情報データベースシステム」の詳細やデータベースの操作について、2024年度下期にあらためて発表される予定です)
》》》関連コラム2-4.『ついに情報解禁!厚生労働省 介護情報基盤の仕組み』
》》》関連コラム2-3.『2024年度より義務化。介護事業所の財務諸表 都道府県への報告』
■出典(参考URLなど)
厚生労働省「介護サービス事業者の経営情報の調査及び分析等」
介護保険法(該当条文:第115条の44の2)
介護保険法施行規則(該当条文:第140条の62の2の2~第140条の62の2の6)