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2-2. 『運営規定と併せて掲載。介護事業所の重要事項&追加事項』

運営規定と併せて掲載。介護事業所の重要事項&追加事項
運営規定と併せて掲載。介護事業所の重要事項&追加事項

《《《前のコラム2-1. 『2024年度より電子掲示。介護事業所の運営規定等のWEB掲載』

前述のコラムに引き続き、運営規定と併せて必要な重要事項や取り組み内容について、情報をまとめて見ていきましょう。

このコラムの内容

・サービス種別ごとの運営規定・重要事項
 -訪問介護のケース例
 -通所介護のケース例
 -短期入所生活介護のケース例
・介護保険制度の改正で追加された事項
 -高齢者の虐待防止
 -ハラスメント対策
 -業務継続計画(BCP)

 サービス種別ごとの運営規定・重要事項

まず介護事業所の運営規定の重要事項は、自治体への指定申請や更新・変更、加算届出などに必要になりますが、サービス種別ごとに内容・項目は分かれてきます。
これについては、2024年度から自治体への申請様式が統一化されていますので、東京都の訪問介護の運営規定のケース例をご覧ください。
なおこれらの運営規定とは別に、各自治体が定める条例や規則(ローカルルール等)にて書類の提出や確認が求められるケースもあります。

訪問介護の運営規定・重要事項(東京都のケース例)
・事業の目的
・運営の方針
・事業所の名称等
・職員の職種、員数及び職務内容
・営業日及び営業時間
・指定訪問介護の提供方法、内容及び利用料等

・通常の事業の実施地域
・相談・苦情対応
・事故処理
・緊急時等における対応方法
・虐待の防止のための措置に関する事項
・その他運営についての留意事項(秘密保持、社内研修など)

東京都 訪問介護 運営規定ケース例
東京都 訪問介護 運営規定ケース例


通所や入所介護のケース例については、次のリンク先をご覧ください。
「通所介護の運営規定・重要事項」(東京都のケース例)
「短期入所生活介護の運営規定・重要事項」(東京都のケース例)
出典:東京都福祉局「東京都介護サービス情報」より引用・編集


介護保険制度の改正で追加された事項

次いで、介護保険制度の改正で追加されたもので、介護事業所の運営について、併せて記載した方が良い項目も挙げられます。
これらは近年の社会情勢や職場環境を受けて、介護事業所が定めることが義務化された情報になり、介護サービスの利用者・家族や職員に向けて、併せて記載した方が良い情報になります。
〈介護保険制度の改正で追加された事項〉
・高齢者の虐待防止
・ハラスメント対策
・業務継続計画(BCP)
これら追加された事項についても、その経緯やひな型などを見ていきましょう。

高齢者の虐待防止

2021年度の介護保険制度の改定では、高齢者虐待防止のための取り組みが強化されました。
この改定により、すべての介護サービス事業者に対して、以下のような内容が義務付けられました(3年の経過措置期間を経て、2024年度から義務化)

・委員会の開催: 虐待の防止や再発防止のため、定期的に委員会を開催し、その結果を職員に周知する。テレビ電話などの活用も認められています。
・指針の整備: 虐待の防止に関する明確な指針を整備し、職員がその内容を理解し実行できるようにする。
・研修の実施: 職員に対して、定期的な虐待防止研修を実施し、知識と意識の向上を図る。
・担当者の設置: 上記の措置を適切に実施するため、専任の担当者を配置する。

関連する法例や防止の取り組み

「高齢者虐待防止法」により、直接的に高齢者の虐待を禁ずることに加えて、虐待を発見した場合に自治体へ通報することや。通報を受けた自治体の対応等も定めてられています。
またこの法令は、「高齢者」だけでなく「障がい者」にも定められています。
厚生労働省「高齢者虐待防止」
東京都福祉局「高齢者虐待防止」
介護保険制度の改定を受けて、これら虐待防止に対する取り組みをより強化するため、介護事業所に対してもこれらの情報を追加することが定めています。

ハラスメント対策

介護現場でのハラスメント防止は、職場環境の改善と、利用者および職員の安心・安全の確保に直結する重要な要因になります。
介護事業所として、利用者と職員間におけるハラスメントを防止し、健全な職場環境を構築するためには、明確な方針と具体的な取り組みが必要です

ハラスメント防止の基本方針

介護事業所は、まずハラスメントに対する基本方針を定めることが求められます。
またこれらの方針は、職員や利用者との間にも共有されて周知されるのが良いでしょう。

・基本方針の明示: 介護事業者としてのハラスメントに対する姿勢を明示し、職員や利用者に広く共有する。
・意識の統一: 職員が管理者に相談した際に、どの管理者に相談しても一貫した対応ができるよう、事業者全体での意識の統一を図る。
・利用者への周知: 契約時などに利用者やその家族に対して、事業所のハラスメント対策方針を説明し、理解を求める。

ハラスメント防止のためのマニュアルと研修

ハラスメントの未然防止には、具体的な行動指針としてのマニュアル作成と、職員への研修が不可欠です。

・マニュアルの作成と共有: ハラスメント防止のための対応マニュアルを作成し、職員に対して周知徹底を行う。このマニュアルには、ハラスメント発生時の対処方法や、管理者の役割を明確に記載する。
定期的な研修の実施: 職員の意識向上とスキル習得を目的とした研修を定期的に実施する。研修では、具体的なケース事例を交えて、どのように対応すべきかを共有する。

厚生労働省と東京都福祉局のホームページにも、ハラスメント対策の取組や事例、注意事項と重要事項の記載例がなどが記載されています。
厚生労働省「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」
東京都福祉局「注意事項」
東京都福祉局「重要事項説明書の記載例」

業務継続計画(BCP)

業務継続計画(BCP)とは

業務継続計画(Business Continuity Plan)は、近年の感染症や自然災害の発生など予期せず事態にあっても、介護サービスの提供を継続するために策定する計画です。
このような発生時の業務中断を極力抑制し、迅速に通常の業務運営を再開するための具体的な手順や準備を示しています。

業務継続計画(以下BCP)の法的義務

介護保険制度の改定により、すべての介護サービス事業者に対して、BCPの定めが義務化されました。(2024年度までに策定義務)
特に感染症の流行や自然災害の発生に対策していない介護事業​​所は、今後の報酬減額の対象となるため、速やかな対応が求められます。

BCP策定のステップ

厚生労働省および東京都からガイドラインに沿って、BCPの考え方には、次のステップを踏むことが推奨されます。

・リスク分析と評価: 事業所がじっくり行う可能性のあるリスク(感染症、地震・台風など)を特定し、それらが業務上考慮した影響を評価する。
・重要な業務の特定: 非常時においても継続する必要のある業務(例:利用者への直接介護、緊急時の連絡手段の確保など)を特定する。
・対応策の策定: 特定されたリスクに対して、具体的な対応策を策定します。
(例えば、感染症としての消毒手順の強化や、災害時の避難計画など)
・教育と訓練: 策定したBCPを実際に機能させるためには、職員への教育と定期的な訓練が必要なため、普段の教育と訓練から、非常時に対応する能力を高める。
・定期的な見直し:社会状況の変化や新たなリスクの発生に応じて、BCPを定期的に見直し、必要に応じて改訂する

厚生労働省および東京都福祉局のホームページにも、BCPのガイドラインや作成支援の情報が掲載されています。
厚生労働省「介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)作成支援に関する研修」
東京都福祉局「業務継続計画(BCP)策定のための支援動画」
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》》》次のコラム2-3.『2024年度より義務化。介護事業所の財務諸表 都道府県への報告』


■出典(参考URLなど)
東京都福祉局「訪問介護のケース例」
東京都福祉局「通所介護のケース例
東京都福祉局「短期入所生活介護のケース例」
厚生労働省「高齢者虐待防止」
東京都福祉局「高齢者虐待防止」
厚生労働省「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」
東京都福祉局「注意事項」
東京都福祉局「重要事項説明書の記載例」
厚生労働省「介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)作成支援に関する研修」
東京都福祉局「業務継続計画(BCP)策定のための支援動画」