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オンライン・ネットワークによるチェック体制
前述のように、2024年度から介護事業所の申請・変更などの手続きがオンライン移行するのに併せて、それら手続きを受理して指定する(もしくは差し戻す)自治体側にも、大きな仕様の変更があります。
厚生労働省の発表には、今回の制度変更の目的は、介護事業所の紙文書負担の軽減とDX化による事務の効率化のためと明記されていますが、その他方で、行政の各種ネットワークを連動したチェック機能が追加されることはあまり謳われていません。
厚生労働省の「指定申請等のウェブ入力・電子申請概要に関する説明」にも、ほんの僅かに(見逃してしまうほどに)、「政府共通NW」や「統合NW」と書かれていますが、これはどのような内容になっているのでしょう。
ウェブ入力データをチェックし行政調査や実地指導へ
まず聞きなれない専門用語になりますので、それぞれの役割を簡単に解説していきましょう。
連携する各種の行政ネットワーク
-LGWAN(総合行政ネットワーク):地方公共団体と政府機関間の通信を行うための行政専用ネットワーク
-政府共通NW(G-Net):日本の各府省の基幹的なネットワークが相互接続した政府共通のプラットフォーム
-統合NW(統合ネットワーク):厚生労働省における業務の効率化や合理化のため、厚生労働省と関連機関等結ぶネットワーク
要するに各種の行政ネットワークを連携させて、行政サービスに関わる大規模なデータを取り扱うことが可能となる訳です。
このように書くと大がかりな行政のネットワーク連携やDX化になりますが、その背景には自治体職員の人手不足やワークライフバランスから、介護事業所をチェックするマンパワーが足りていないことや、近年問題になっている介護事業者の不正請求や事故・トラブル等が挙げられます。
-新聞やニュースでも取り上げられているのは、介護保険制度を利用した介護報酬の不正請求や、介護現場での虐待やハラスメント、感染症や災害時の対応の遅れなど
これまでは自治体(委託先)による、介護事業所の申請や変更時などの確認や、定期的な情報更新や行政調査で、介護事業所をチェックする役割がなされていましたが、今後は各種の行政ネットワークを連携してシステムチェックして、リスクがあれば行政調査や実地指導へ展開していくものになっていきます。
各種の行政ネットワークを連携したチェック内容の詳細は、現時点で公表されていませんが、事業所台帳や登記簿の情報、各種の保険請求の情報、その他に事業所の職員や利用者の情報とも連動することができるため、さまざまな観点で適正な介護事業所の運営やサービスが行われているか、チェックする機能も追加されていきます。
集客やコンプラのメリット
今回の制度改正で、介護事業所には申請・変更のオンライン化やシステムチェックなど、データ化による負担が増える一方で、ちゃんと入力すれば利用者さんの集客や、コンプライアンスの対応など、メリットとなる部分もあります。
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■出典(参考情報など)
厚生労働省「介護事業所の指定申請等のウェブ入力・電子申請の導入、文書標準化」