介護事業所は、財務諸表などの経営情報を、都道府県知事へ報告
厚生労働省 老健局より、各自治体の介護保険課や各介護保険関係団体宛てに、「介護サービス事業者経営情報データベースシステムの運用開始について」の事務連絡が発出されました。(2024年12月13日)
「介護サービス事業者経営情報データベースシステムの運用開始について」
出典:厚生労働省ホームページより引用・編集
これを受けて、介護サービス事業所は財務諸表などの経営情報を、都道府県知事へ報告することが必要となり、それらの情報は今後、集計やグルーピングされて公表されていく流れとなります。
出典:厚生労働省ホームページより引用・編集
そして報告する仕組み「介護サービス事業者経営情報データベースシステム」がリリースされて、厚生労働省ホームページに掲載され、2025年1月6日より運用開始となりました。
(今回リリースは先行して介護事業所向け機能になり、都道府県の担当者向け機能については、後日発表になる予定です)
介護サービス事業者経営情報データベースシステム
出典:厚生労働省ホームページより引用・編集
この解説コラムでは、今回の報告システムが運用開始されたタイミングで、介護事業所の目線で、報告する内容やシステムの要点をご紹介します。(報告にあたって、GビズIDプライム)のアカウント取得が必要となります)
関連して以前の解説コラムもご覧ください。
》》》参考コラム
2-6.『厚生労働省、介護事業所の財務報告に関するQ&A第1弾』
2-7.『厚生労働省、介護事業所の財務報告に関するQ&A第2弾』
2-8. 厚生労働省『介護経営DBかんたん操作ガイド』リリース
■介護サービス事業者からの報告は(インデックス)
(1)報告の対象となる介護サービス事業者
(2)報告の単位
(3)報告の対象となるサービス種別
(4)報告の対象とするサービス事業
(5)介護サービス事業者が報告する内容
(6)介護サービス事業者が報告する方法
(7)報告の期限
(1)報告の対象となる介護サービス事業者
介護サービス経営情報の報告は、原則として全ての介護サービス事業者が行わなければならないものであるが、以下の基準に該当する介護サービス事業者については、報告を求めないこととする。
《基準該当の介護サービス事業者》
①当該会計年度に提供を行った、介護サービスに係る費用の支給の対象となるサービスの対価として、支払いを受けた金額が100万円以下である者
②災害その他都道府県知事に対し、報告を行うことができないことについて、正当な理由がある者
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(2)報告の単位
介護サービス事業者経営情報の報告は、原則、介護サービス事業所・施設単位で行うものとするが、事業所・施設ごとの会計区分を行っていない場合などのやむを得ない場合については、法人単位で報告することとしても差し支えないものとする。
出典:厚生労働省ホームページより引用・編集
(3)報告の対象となるサービス種別
介護サービス経営情報の報告は、以下に掲げるサービスを提供する事業所又は施設について報告を行うこととする。
① 訪問介護
② 訪問入浴介護
③ 訪問看護
④ 訪問リハビリテーション
⑤ 通所介護、通所リハビリテーション
⑥ 短期入所生活介護
⑦ 短期入所療養介護(則第 14 条第4号に掲げる診療所に係るものを除く)
⑧ 特定施設入居者生活介護(養護老人ホームに係るものを除く)
⑨ 福祉用具貸与
⑩ 特定福祉用具販売
⑪ 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
⑫ 夜間対応型訪問介護
⑬ 地域密着型通所介護
⑭ 認知症対応型通所介護
⑮ 小規模多機能型居宅介護
⑯ 認知症対応型共同生活介護
⑰ 地域密着型特定施設入居者生活介護(養護老人ホームに係るものを除く)
⑱ 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
⑲ 複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)
⑳ 居宅介護支援
㉑ 介護福祉施設サービス
㉒ 介護保健施設サービス
㉓ 介護医療院サービス
㉔ 介護予防訪問入浴介護
㉕ 介護予防訪問看護
㉖ 介護予防訪問リハビリテーション
㉗ 介護予防通所リハビリテーション
㉘ 介護予防短期入所生活介護
㉙ 介護予防短期入所療養介護(則第22条の14第4号に掲げる診療所に係るものを除く)
㉚ 介護予防特定施設入居者生活介護(養護老人ホームに係るものを除く)
㉛ 介護予防福祉用具貸与
㉜ 特定介護予防福祉用具販売
㉝ 介護予防認知症対応型通所介護
㉞ 介護予防小規模多機能型居宅介護
㉟ 介護予防認知症対応型共同生活介護
※居宅療養管理指導、養護老人ホーム、介護療養型医療施設、介護予防支援、総合事業は報告対象外です
ただし、訪問看護、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、短期入所療養介護、介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション、介護予防通所リハビリテーション及び介護予防短期入所療養介護のうち、関連法令により、介護予防サービスに係る病院等、介護老人保健施設若しくは介護医療院であって、指定があったものとみなされた日から起算して1年を経過しない者によって行われる訪問看護等については、この限りでない。
出典:厚生労働省ホームページより引用・編集
(4)報告の対象とするサービス事業
報告に当たっては、介護サービス事業に係る事項のみを対象とすることを基本とする。
ただし、医療・障害福祉サービスに係る事業を併せて実施している場合で、当該サービス等に係る収益や費用について、介護サービスとの記載が区分されていない場合には、当該事業に係る部分について、除外せずに報告しても差し支えない。
なお、この場合であっても、適切な分析に資するようにする観点から、別紙1の4.その他必要な事項(3)~(7)に掲げる事項について、できる限り報告を行うものとする。
■別紙1の4.その他必要な事項
(1)複数の介護サービス事業の有無
(2)介護サービス事業以外の事業(医療・障害福祉サービス)の有無
(3)医療における事業収益 ※
(4)医療における延べ在院者数 ※
(5)医療における外来患者数 ※
(6)障害福祉サービスにおける事業収益 ※
(7)障害福祉サービスにおける延べ利用者数 ※
(注)介護サービス以外の事業を行う事業者において、介護サービスとそれ以外の事業の収益又は費用を分けて報告ができない場合には、できる限り(3)~(7)について報告されたい。
出典:厚生労働省ホームページより引用・編集
(5)介護サービス事業者が報告する内容
法第115条の44の2第2項の規定に基づき、介護サービス事業者が報告を行わなければならない。
介護サービス事業者経営情報の具体的な内容は、別紙1に掲げる事項とする。■別紙1の2.事業所又は施設の収益及び費用の内容
(1)介護事業収益
①うち施設介護料収益 ※
②うち居宅介護料収益 ※
③うち居宅介護支援介護料収益 ※
④うち保険外収益 ※
(2)介護事業費用
①うち給与費
ア)うち給与
イ)うち役員報酬 ※
ウ)うち退職給与引当金繰入 ※
エ)うち法定福利費 ※
②うち業務委託費
ア)うち給食委託費 ※
③うち減価償却費
④うち水道光熱費
⑤うちその他費用
ア)うち材料費 ※
ⅰ)うち給食材料費 ※
イ)うち研修費※
ウ)うち本部費 ※
エ)うち車両費 ※
オ)うち控除対象外消費税等負担額 ※
(3)事業外収益 ※
①うち受取利息配当金 ※
②うち運営費補助金収益 ※
③うち施設整備補助金収益 ※
④うち寄付金※
(4)事業外費用 ※
①うち借入金利息 ※
(5)特別収益 ※
(6)特別費用 ※
(7)法人税、住民税及び事業税負担額 ※
(注2)上記項目と、各会計基準上の勘定科目との対応関係については、別紙2を参照されたい。
■別紙2 報告すべき事業所又は施設の収益及び費用の内容と各会計基準上の勘定科目との対応関係
出典:厚生労働省ホームページより引用・編集
(6)介護サービス事業者が報告する方法
介護サービス事業者から都道府県知事への報告は、則第140条の64の2の4において、電磁的方法を利用して自ら及び当該報告を受けるべき都道府県知事が同一の情報を閲覧することができる状態に置く措置を講ずる方法その他適切な方法により行うこととされているところであり、厚生労働省において運営するシステム(介護事業財務情報データベースシステム)により行うものとする。
出典:厚生労働省ホームページより引用・編集
(7)報告の期限
介護サービス事業者による都道府県知事への介護サービス事業者経営情報の報告は、則第140条62の2の4の規定に基づき、当該介護サービス事業者の毎会計年度終了後、3カ月以内に行うものとする。
ただし、令和6年度内に実施されるべき報告(令和6年3月31日から同年12月31日までに会計年度が終了する報告)に限り、報告期限を令和6年度末までとする(初年度のみ措置あり)
■参考1 令和6年度の報告(初年度報告)の流れ
■参考2 令和7年度以降の報告の流れ(以下は令和7年度の例)
出典:厚生労働省ホームページより引用・編集
経営情報データベースシステムのまとめ
ここまでが今回リリースされた「介護サービス事業者経営情報データベースシステム」について、運用開始時点での報告する内容やシステムの要点になります。(2025年1月6日時点)
2025年に入って最初の営業日になりますが、報告する介護事業所の目線では、事業所単位で財務諸表などの経営情報を用意して、このシステムより、データを入力していく、新たな報告手続きとなります。
その期限についても、初年度の報告は2025年3月末までのため、年度末の業務に加えて、これらの財務やシステムでの報告作業が必要なってくるため、早めに準備・手配を進めておくことをおすすめします。
この報告システムについては、今後も情報の追加・更新やQ&A、都道府県の担当者向け機能もリリースされるため、随時、解説コラムで取り扱っていく予定です。
◆出典、参考情報
・介護保険法(第115条の35、第115条の44の2)
・介護保険法施行規則(第140条の62の2)
・介護サービス事業者経営情報データベースシステム
・介護サービス事業者経営情報データベースシステム操作マニュアル(介護事業所向け)詳細版
・介護サービス事業者経営情報データベースシステム操作方法説明(動画)
・介護サービス事業者の経営情報の報告・公表 リーフレット
・介護経営DB かんたん操作ガイド(ファイル登録版)
・介護経営DB かんたん操作ガイド(画面入力版)
・本制度に関する厚生労働省ホームページ