介護事業所の電子申請と体制加算はセットで見直し!
前述の「電子申請の解説コラム」では、特定サービスや加算に関する機能で知っておくと便利なメニューを紹介しましたが、このコラムでは「介護事業所の加算」について、フォーカスして見ていきましょう。
《《《参考コラム 1-18.番外篇その1「電子申請の解説コラム」 | あると便利な機能
ここでは介護報酬に係る加算について、大きく2つの分類(タイプ)に分けて、「介護事業所の体制加算」に関して解説するものになります。
介護報酬に係る加算の分類(タイプ)
・「介護事業所の体制加算」
・「利用者個人の個別加算」
介護保険制度に係る加算は、3年に1度の制度改正や介護業務・現場を勘案したもので、新設/再編される加算があり、さらにLIFEのように新たな区分で介護予防・改善した取り組みを評価する加算があるなど、近年ではその区分や名称・内容が複雑化しているのが現状です。
【参考】令和6年度介護報酬改定について
令和6年度の介護報酬改定においても、これらの体制届出の改正や通知がされており、詳しくは厚生労働省のホームページをご覧ください。
出典:厚生労働省ホームページより引用・編集
そのため、電子申請のセミナーや研修の際にも、加算に関する機能を説明していると、参加している介護事業所のうち1~2件は、実は体制加算の要件を満たしていて、該当する加算の届出を提出することに繋がったなどのケースも挙がっています。
(反対に加算の要件を満たさずに届出を出してしまうと、その分の介護給付費を返金しなければならないケースもあるので、留意しておきましょう)
このコラムでは、最新版「介護事業所の体制加算」にフォーカス
・介護事業所の体制加算を一覧で見るなら
・電子申請で体制加算の届出をするなら
・居宅サービスの一例を挙げると
(1)「訪問介護(ヘルパーステーション)」では
(2)「通所介護(通常/大規模デイサービス)」では
(3)「特定施設入居者生活介護(特定の有料老人ホーム、ケアハウス、サービス付き高齢者向け住宅)」では
・地域密着型サービスの一例を挙げると
(4)「地域密着型通所介護(小規模デイサービス)」では
(5)「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」では
・施設サービスの一例を挙げると
(6)「介護老人保健施設」では
(7)「介護医療院」では
・他サービスの一例を挙げると
(8)「福祉用具貸与」では
(9)「居宅介護支援」では
介護事業所の体制加算を一覧で見るなら
介護事業所の体制加算をチェックするのにわかりやすいのが、「介護給付費算定に係る体制状況等一覧表」になり、全サービスに係る地域区分から、サービス種別ごとの区分や対象となる体制加算等などがまとまったものになります。
現時点での最新版は、厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」ページの、「体制届出に関する通知」の項目にて、自治体や事業所向けの通知や別紙の一覧表(エクセル)が掲載されています。
出典:厚生労働省ホームページより引用・編集
この一覧表(エクセル)のシート数が多いのですが、シート左側の「別紙1」から順に見ていくと、サービスごとの介護事業所の体制加算等が一覧となり、それぞれの項目ごとに該当/非該当などのチェックを付けるので、確認しやすくなります。
サービス種別ごとに、体制加算が一覧で見て、チェックしやすい
介護給付費算定に係る体制等状況一覧表【令和6年6月】(注)
・別紙1-1-2(居宅サービス・施設サービス・居宅介護支援)
・別紙1-2-2(介護予防サービス)
・別紙1-3-2(地域密着型サービス・地域密着型介護予防サービス)
・別紙1-4-2(介護予防・日常生活支援総合事業)
出典:厚生労働省ホームページより引用・編集
(注)それぞれの一覧表や体制加算には、備考や留意点も記載されているので、そちらも合わせて確認してください。
(注)体制届出の手続きにあたっては、事前に管轄する自治体にも確認を取って、届出する様式や参考資料を用意しておく必要があります。
電子申請で体制加算の届出をするなら
前述のように体制加算の要件を満たしていて、該当する加算の届出をするなら、「電子申請届出システム」で加算に関する操作を手続きしていきます。
事前に管轄する自治体に確認や届出様式・参考資料を用意した上で、このシステムにログインして、申請届出メニューの「加算に関わる届出」より、申請するサービス分類と管轄する自治体を選んでいきます。
この後の手続きは、必要な事業所情報の入力やファイルを選択して確認の上で、加算に関する届出をしていきます。
出典:厚生労働省「電子申請届出システム」より引用・編集
(注)このシステムでのサービス分類では、「居宅施設」「地域密着型」「基準該当」「総合事業」のように集約されています。
前述の「電子申請の解説コラム」でも、「電子申請届出システム」の操作や手続きを紹介していますので、参考にご覧ください。
《《《参考コラム
1-15.2025年版「電子申請の解説コラム」 | ステップ3:事業所情報
1-18.番外篇その1「電子申請の解説コラム」 | あると便利な機能
サービス種別ごとに体制加算等などをピックアップ
ではこの後は、介護保険制度の代表的なサービス種別ごとに、「介護給付費算定に係る体制状況等一覧表」より、体制加算等などをピックアップしていきましょう。
居宅サービスの一例を挙げると
(1)「訪問介護(ヘルパーステーション)」では
提供サービス:訪問介護の体制状況等
・定期巡回・随時対応サービスに関する状況
・高齢者虐待防止措置実施の有無
・特定事業所加算(Ⅴ以外)
・特定事業所加算Ⅴ
・”共生型サービスの提供(居宅介護事業所)”
・”共生型サービスの提供(重度訪問介護事業所)”
・同一建物減算(同一敷地内建物等に居住する者への提供)
・同一建物減算(同一敷地内建物等に居住する者への提供(利用者50人以上))
・同一建物減算(同一敷地内建物等に居住する者への提供割合90%以上)
・特別地域加算
・”中山間地域等における小規模事業所加算(地域に関する状況)”
・”中山間地域等における小規模事業所加算(規模に関する状況)”
・口腔連携強化加算
・認知症専門ケア加算
・介護職員等処遇改善加算
(2)「通所介護(通常/大規模デイサービス)」では
提供サービス:通所介護の体制状況等
・職員の欠員による減算の状況
・高齢者虐待防止措置実施の有無
・業務継続計画策定の有無
・感染症又は災害の発生を理由とする利用者数の減少が一定以上生じている場合の対応
・時間延長サービス体制
・”共生型サービスの提供(生活介護事業所)”
・”共生型サービスの提供(自立訓練事業所)”
・”共生型サービスの提供(児童発達支援事業所)”
・”共生型サービスの提供(放課後等デイサービス事業所)”
・生活相談員配置等加算
・入浴介助加算
・中重度者ケア体制加算
・生活機能向上連携加算
・個別機能訓練加算
・ADL維持等加算〔申出〕の有無
・認知症加算
・若年性認知症利用者受入加算
・栄養アセスメント・栄養改善体制
・口腔機能向上加算
・科学的介護推進体制加算
・サービス提供体制強化加算
・介護職員等処遇改善加算
(3)「特定施設入居者生活介護(特定の有料老人ホーム、ケアハウス、サービス付き高齢者向け住宅)」では
提供サービス:特定施設入居者生活介護の体制状況等
・職員の欠員による減算の状況
・身体拘束廃止取組の有無
・高齢者虐待防止措置実施の有無
・業務継続計画策定の有無
・入居継続支援加算
・”テクノロジーの導入(入居継続支援加算関係)”
・生活機能向上連携加算
・個別機能訓練加算
・ADL維持等加算〔申出〕の有無
・夜間看護体制加算
・若年性認知症入居者受入加算
・科学的介護推進体制加算
・看取り介護加算
・認知症専門ケア加算
・高齢者施設等感染対策向上加算Ⅰ
・高齢者施設等感染対策向上加算Ⅱ
・生産性向上推進体制加算
・サービス提供体制強化加算
・介護職員等処遇改善加算
地域密着型サービスの一例を挙げると
(4)「地域密着型通所介護(小規模デイサービス)」では提供サービス:地域密着型通所介護の体制状況等
・職員の欠員による減算の状況
・高齢者虐待防止措置実施の有無
・業務継続計画策定の有無
・感染症又は災害の発生を理由とする利用者数の減少が一定以上生じている場合の対応
・時間延長サービス体制
・”共生型サービスの提供(生活介護事業所)”
・”共生型サービスの提供(自立訓練事業所)”
・”共生型サービスの提供(児童発達支援事業所)”
・”共生型サービスの提供(放課後等デイサービス事業所)”
・生活相談員配置等加算
・入浴介助加算
・中重度者ケア体制加算
・重度者ケア体制加算
・生活機能向上連携加算
・個別機能訓練加算
・ADL維持等加算〔申出〕の有無
・認知症加算
・若年性認知症利用者受入加算
・栄養アセスメント・栄養改善体制
・口腔機能向上加算
・科学的介護推進体制加算
・サービス提供体制強化加算
・介護職員等処遇改善加算
(5)「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」では提供サービス:認知症対応型共同生活介護の体制状況等
・夜間勤務条件基準
・職員の欠員による減算の状況
・身体拘束廃止取組の有無
・高齢者虐待防止措置実施の有無
・業務継続計画策定の有無
・”3ユニットの事業所が夜勤職員を2人以上とする場合”
・夜間支援体制加算
・若年性認知症利用者受入加算
・利用者の入院期間中の体制
・看取り介護加算
・医療連携体制加算Ⅰ
・医療連携体制加算Ⅱ
・認知症専門ケア加算
・認知症チームケア推進加算
・科学的介護推進体制加算
・高齢者施設等感染対策向上加算Ⅰ
・高齢者施設等感染対策向上加算Ⅱ
・生産性向上推進体制加算
・サービス提供体制強化加算
・介護職員等処遇改善加算
施設サービスの一例を挙げると
(6)「介護老人保健施設」では提供サービス:短期入所療養介護の体制状況等
・夜間勤務条件基準
・職員の欠員による減算の状況
・ユニットケア体制
・高齢者虐待防止措置実施の有無
・業務継続計画策定の有無
・夜勤職員配置加算
・認知症ケア加算
・若年性認知症利用者受入加算
・在宅復帰・在宅療養支援機能加算
・送迎体制
・口腔連携強化加算
・療養食加算
・認知症専門ケア加算
・生産性向上推進体制加算
・サービス提供体制強化加算
・併設本体施設における介護職員等処遇改善加算Ⅰの届出状況
・介護職員等処遇改善加算
(7)「介護医療院」では提供サービス:短期入所養介護 Ⅰ型介護医療院の体制状況等
・夜間勤務条件基準
・職員の欠員による減算の状況
・高齢者虐待防止措置実施の有無
・業務継続計画策定の有無
・療養環境基準(廊下)
・療養環境基準(療養室)
・若年性認知症利用者受入加算
・送迎体制
・口腔連携強化加算
・療養食加算
・認知症専門ケア加算
・重度認知症疾患療養体制加算
・特別診療費項目
・リハビリテーション提供体制
・生産性向上推進体制加算
・サービス提供体制強化加算
・併設本体施設における介護職員等処遇改善加算Ⅰの届出状況
・介護職員等処遇改善加算
他サービスの一例を挙げると
(8)「福祉用具貸与」では提供サービス:福祉用具貸与の体制状況等
・特別地域加算
・”中山間地域等における小規模事業所加算(地域に関する状況)”
・”中山間地域等における小規模事業所加算(規模に関する状況)”
(9)「居宅介護支援」では提供サービス:居宅介護支援の体制状況等
・ケアプランデータ連携システムの活用及び事務職員の配置の体制
・特別地域加算
・”中山間地域等における小規模事業所加算(地域に関する状況)”
・”中山間地域等における小規模事業所加算(規模に関する状況)”
・特定事業所集中減算
・特定事業所加算
・特定事業所医療介護連携加算
・ターミナルケアマネジメント加算
出典:厚生労働省ホームページより引用・編集
「介護事業所の体制加算」のまとめ
ここまでが、「介護事業所の体制加算」についてフォーカスした解説になり、その分類やサービス種別ごと、細かく展開した内容になります。
前述のように、介護保険制度に係る加算は、3年に1度の制度改正や介護業務・現場を勘案したもので、新設/再編される加算や新たな区分で取り組みを評価する加算など、近年ではその区分や名称・内容が複雑化しているのが現状です。
これらの複雑な加算も、最新版の一覧表を用いることで、サービス種別ごとの体制状況等を閲覧しやすく、それぞれの項目ごとに該当/非該当などのチェックを付けるので、確認しやすくなります。
(注)それぞれの一覧表や体制加算には、備考や留意点も記載されているので、そちらも合わせて確認してください。
(注)体制届出の手続きにあたっては、事前に管轄する自治体にも確認を取って、届出する様式や参考資料を用意しておく必要があります。
(事前に自治体へ確認を取っておけば、電子申請もスムーズです)
◆出典、参考情報
厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」
厚生労働省「介護給付費算定に係る体制等に関する届出等における留意点について」
厚生労働省「介護事業所の指定申請等のウェブ入力・電子申請の導入、文書標準化」